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情けは人の為ならず

上兼栗 つむぎ

 この言葉は、人に親切にすることは即ち自分のためでもあるのだよ、位に理解されることが多いのではないでしょうか。

 ずいぶん昔に読んだ文章で、太宰治の人柄について印象に残っていることがあります。

 太宰は飲み屋さんなどで先輩や友人におごってもらう時はすましているくせに、その辺で出会ったおじさんの分まで勘定を払う時などは申し訳なさそうな様子であったそうです。

 子どもの頃は太宰治なんてダメ男だなって思っていたのですが、大人になって、特にその人柄を記した文章(どなたの文か忘れました)に触れてからは、作品をよく味わうようになりました。

 話しは変わって子どもさんというものは、あなどることなかれ偽善や欺瞞をよく見抜くものですね。子どもの目に見つめられて身がすくむ思いをした経験が何度もあります。

 これも何で読んだか忘れましたが(読書記録をつけない人間です)この世で良い行いをして誰にも「ありがとう」と言われなかったら、あの世の「得」になると。仏教のお説法なのですね。私はこの話を好んで我が子にしました。

 「ちゃーちゃん、得ってなあに」

 「あの世のポイントみたいなものやで」

 「あの世のポイント集めたいわ!」

 お盆には「おしょうらいさん」のお迎えに行き、そこで恐ろしい地獄絵やお浄土の絵を見て大興奮の我が子たち。あの世にポイントを貯めておけるのならば、それはそれは心強いと思ったことでしょう。

 誰にもお礼を言われず、知られることすらなく、人のために働いている方々に、あまねく三千世界の富が、本当の意味の富が集まりますように。合掌。


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